今やパソコンやスマートフォンを使って、個人や企業問わず、誰でも簡単に動画制作ができる時代。アメリカ・ユタ州に本社を置くDomo株式会社がおこなった調査によれば2020年、YouTubeにはなんと毎分500時間分のビデオがアップロードされているという結果が出ています。

これは動画市場の競争激化を示すと共に、全ての動画が品質に対し、時間をかけて深くこだわっているわけではない、という意味にもとれるのではないでしょうか。数が多く埋もれてしまう可能性が高いからこそ必要なのは差別化です。

ただ撮っただけではなく、何度も見返したくなるような隅々まで作り込まれた動画の制作を目指してみてはいかがでしょうか? 今回はそんなこだわりの動画を制作するために必要な、3種類の撮影機材をご紹介します。

手ぶれを抑えて見やすい動画にする「スタビライザー」

配信用の動画撮影は、室内で三脚を使って撮影するだけではありません。室内を移動したり外で動き回ったりなど、撮影内容によってはカメラを手だけで支えたまま撮影することもあるでしょう。

しかし三脚などを使わず撮影した動画は、どんなに慎重に撮影しても手ぶれが発生して画面が揺れ、見ていて疲れることから離脱に繋がりやすくなります。また、人によっては酔ってしまうこともあり、多くの人に見てもらうための動画品質としてはNG。

そこで手ぶれを防ぐため、必ず使うべきなのがスタビライザーです。元々は車や自転車、飛行機などにも使われる“揺れを抑える装置”ですが、現在はカメラの手ぶれを抑えるための撮影機材として、高品質な動画を制作する多くのクリエイターが使用しているアイテムです。

機械式スタビライザーとは、付属した重りを自身で調整し、揺れと反対方向に動くことで映像の手ぶれを防止するアイテムです。

機械式のものは重り分の重量がありますが、モーターや自動手ぶれ補正のような電気の力に頼らないためにバッテリーの消費を気にする必要が無く、アナログであるために自由な動きにスムーズに対応できる特徴があります。

電気式スタビライザーとは、その名の通り電気の力(モーター)で手ぶれを補正するアイテムです。こちらは回転台の一種である「ジンバル」とも呼ばれ、重りを使わない分、非常に軽くてコンパクト、かつ機械式よりも比較的低価格なのが特徴です。

使いやすく持ち運びにも便利なため、利用者は非常に多いですが、電気制御であるために自由度は機械式より下がってしまう場合が多くあります。

機械式を選ぶか電気式を選ぶかは、撮影する動画のタイプによって使い分けるのがベスト。こだわったドキュメンタリーなどなら機械式がおすすめですが、撮り方にこだわらないのであれば機械式が使いやすいでしょう。

また、形も手だけで支えるハンドグリップ型から、体に器具を装着して使うボディマウント型、肩と両手を使って支えられるショルダーマウント型などさまざまです。大型になるほど重量があり操作も大変になりますが、使いこなせれば自由度の高い、思い通りの映像撮影が可能になります。

狙った方向の音をクリアに取り込む「ガンマイク」

動画撮影ができるビデオカメラには、声や音を収録できるマイクが内蔵されています。しかし集音機能は弱いうえ、周りの音全てを取り込んでしまうために撮影対象の声や音が聞き取りづらく、コンテンツとしての動画制作には向いていないといえるでしょう。

個人の日々の記録などではなく、きちんとした動画制作をおこなうならマイクは必須。とくに狙った方向の音を集める「ガンマイク(ショットガンマイク)」は、どんなタイプの動画制作にも使える定番アイテムです。

ガンマイクと聞いてイメージする定番のアイテムといえば、テレビロケの際にスタッフが持っている、棒の先にフワフワが付いたものかもしれません。

しかし近年は技術の進歩が素晴らしく、カメラに接続可能な小さなマイクでもしっかりとクリアな音声を拾えるようになっています。音質や雑音の軽減にこだわるなら、少し大きめで高品質なものを選ぶのがgood。しかし大きくなればなるほど重くもなるため、撮影時間や手で持つ時間を考慮して選びましょう。

また、屋外での撮影であれば、風の音を軽減する風防(ウインドスクリーン・ウインドジャマー)が欠かせません。これはコンテンツの品質に関わらず、ガンマイクを使うなら必ず付けておきたいものです。

長い棒の付いた大きなガンマイクの場合は、かご形のカバーにファーが付いた非常に性能の高いウインドスクリーンが定番です。しかしカメラに付けられる小型ガンマイクの場合は、マイクに直接スポンジタイプのウインドスクリーンか、ファータイプのウインドジャマーを装着して使います。

風の音を軽減する力は比較的ウインドジャマーの方が高くなりますが、その分少し音がこもって聞こえる可能性もあります。こちらも撮影したい映像のタイプや天候によって使い分けるのがおすすめです。

見たことのない視点からの動画を楽しめる「ドローン」

近年、ラジコンのように操縦して飛ばせる無人航空機「ドローン」が注目を集めています。高性能の小型カメラ付きドローンから撮影された映像では、通常の撮影では見られない景色や、人が立ち入るには難しい場所を確認することができます。

ラジコンといえばヘリコプター型で、ドローンといえば四方にプロペラが付いた平たい形をイメージする方は多いと思います。実はドローンにもヘリコプター型の“シングルロータータイプ”はあるのですが、安定した操縦が難しいため、まだまだ普及は進んでいません。

ラジコンとドローンの大きな違いとしてあげられるのは、ドローンにはGPSや電子コンパスなどさまざまな機器が搭載されており、目の前にドローンが無い状態でも、画面を見ながら遠隔操作や自動操縦が可能な“自律飛行”ができるという点です。

ただしドローンと呼ばれるもののなかにもさまざまなタイプがあり、必ずしも一般的によく見られるタイプだけがドローンと呼ばれるわけではありません。

プロペラが3カ所以上ある“マルチコプター”タイプのドローンは、安定感のある操作が簡単にできるのが大きな魅力です。

また、一般的に空撮で使われるドローンは航空法により、地表もしくは海面から150m地点までなら飛行することが可能。これは東京タワーでいえば大展望台ほどの高さです。飛行できる場所や高度は限られるとはいえ、空から安定して撮影できるなら、動画制作の可能性は大きく広がるはずです。

ただし、空撮用で使われるドローンはカメラやジンバルなど高性能の機器を装備しているため、基本的に200g以上のものがほとんどです。

重量が200g以上であれば、主に国土交通省の「改正航空法」にある、無人航空機の飛行ルールに従って利用する必要があります。内容としては、高さは地表・海面から150mまで、人口集中地区以外での飛行、目視範囲内での飛行など。

また200g以下のドローンは改正航空法ではなく、飛行を希望する場所の各自治体が決めたルールや民法・道路交通法・電波法などに注意する必要があります。希望の場所で飛行させるには対象の管轄へ申請を出す、もしくは許可を取るなどしましょう。

安定感が抜群で、慣れれば比較的誰でも操作しやすいドローンですが、撮りたいイメージの動画を撮影するならやはり資格を持ったプロに依頼するのがベターです。

ただしここでいう資格はドローンを飛ばすために必須のものではありませんが、知識と技能を証明するものであるため、ルールを守って安全な撮影・動画制作をおこなうためにも資格保有者自身、もしくは在籍する企業へ撮影を依頼したいものです。

プロに依頼すれば思い通りで高品質な動画制作が可能ですが、費用相場としては5万円~10万円以上の価格帯となります。ドローンを使えば非常に魅力的な動画になることは間違いありませんが、本当にドローンを使う必要があるかどうかも含め、しっかりと検討してから利用するのがおすすめです。

視聴者の視点に立って、こだわりの動画を制作しよう

ダイナミックな映像や最新技術を使った派手な映像は刺激的である反面、場合によっては視聴者を疲れさせてしまうという可能性もあります。

品質が良く安定感のある動画を意識して制作することは、ひいては企業のブランディングにも繋がっていくはずです。大切なのは視聴者が求めているものを、分かりやすい音質や映像で心地よく伝えることです。

さまざまな撮影機材を使って、細かい部分まで配慮された素晴らしい動画コンテンツの制作を目指しましょう。