続々と登場する新しいサービスや、ここ数年で一気に注目の的となったSNS、さらには5Gの導入など、私たちの生活はインターネット環境の進化により、短期間で非常に大きな変化を迎えています。

今後、企業がマーケティングをおこなううえで必須となるのは、やはりSNSでのシェアや直接的にコンバージョンへの誘導が見込める動画広告です。しかしこれからの動画は、ただ商品の紹介をするだけ・目立つだけのものは注目されず、イメージダウンにすら繋がる可能性もあります。

だからこそ動画制作会社などに依頼し、メッセージやアイデアが詰まった高品質な動画を制作する必要があるのです。そのために必要となるのが、要件を的確にまとめるための3種類のシート。上手に使って、納得できる作品作りを目指しましょう。

3種類のシート「ヒアリングシート・オリエンシート・クリエイティブシート」とは

動画制作会社へ動画制作を依頼する場合、まずはなぜ動画を制作するのか、どんな動画にしたいのか、ターゲットとするのはどんな人物か、予算や納期は…などさまざまな情報を共有する必要があります。

それらを最初の時点でシートに書き出し、動画制作のゴールを明確にしたものをそれぞれヒアリングシート・オリエンシート・クリエイティブシートと言います。

この3種類のシートは、記入する内容こそ動画制作会社や状況によって変わりますが基本的な目的はほとんど同じ。しかしそれぞれの名前の通り厳密に言えば役割や記載内容の濃さが変わってくるため、全て作成すればより充実した内容の動画になるはずです。

ヒアリングシートは比較的簡単な内容を記載するもの、オリエンシートはヒアリングシートの内容にプラスして少し戦略的な内容を含むもの、クリエイティブブリーフはよりマーケティングを意識した、より良い広告作りのための内容を記載するのが一般的となっています。

「ヒアリングシート」相談から参考資料、演出の仕方まで

ヒアリングシートは、依頼側はどんな動画を作りたいのか、予算やスケジュールはどのくらいかなど、動画を制作するために必要な情報・要望を聞いてまとめるためのものです。

基本的には5W1Hを中心とした質問項目があり、漏れなく記入することによって必要な情報の不足をなくす狙いがあります。5W1Hとは「When(いつ)・Where(どこで)・Who(誰が)・What(何を)・Why(なぜ)・How(どのように)」という内容の、ポイントを押さえるフレームワークのこと。少し詳しく説明します。

動画の内容によっては、スタッフや役者、機材などのスケジュール調整が必要です。完成までは数ヶ月、もしくは1年以上かかるものもあり、依頼側と制作側のやりとりや修正・確認作業も発生すればさらに時間がかかることに。

急ぐからと早めの制作を依頼すると、上乗せで料金がかかる場合も。依頼する際は公開予定日までのゆとりを多めに持っておきたいものです。

依頼する動画を配信するのはYouTubeなのか、TwitterやInstagramなのかなども、ヒアリングシートで確認しておくべき項目です。例えばInstagramであれば印象的でおしゃれな雰囲気に、Twitterであれば話題性が高く有益な内容にするなどの工夫をおこないます。

同じ商品・ブランドを扱った動画でも配信プラットフォームのテイストに合わせた内容にすることで、より注目を集め、シェア率を上げることが可能となります。

動画制作においてここは非常に重要で、年代や性別、ライフスタイルまでしっかりとイメージして具体的な人物像を描ければ、ニーズを把握しやすくターゲットの行動意欲を刺激しやすい動画を作ることができます。

ターゲットが動画を見た後、どんな行動をとって欲しいのかは、マーケティング戦略においてとても重要です。オウンドメディアへ訪れて欲しいのか、ブランドに特定のイメージを持ってもらいたいのかなど、目的を具体的に記載しましょう。

これはゴールに向かって動画のストーリーを組み立てていくために非常に重要な項目です。

その目的を達成するためになぜ動画が必要なのかを、改めてここで考えつつテキストで見える化しましょう。ポイントは浅く考えるのではなく、より深く、根本から見直すくらいに考えてみるのがおすすめです。

例えば今話題だからとInstagramでの動画配信を考えているが、Whyに基づいて理由を考えた場合、本当に届けたいターゲットはInstagramよりもYouTubeを使うほうが効果的かもしれない、などの発見を得られる可能性もあります。

“なぜ”は、本当に重要なポイントをあぶり出すために最適な思考です。いろんな場面においてWhyを活用してみましょう。

ここでいう雰囲気とはトーン&マナーなどのこと。演出方法やテイストを含む、いわば動画のジャンルを決める部分です。面白くて笑える感動系、社会問題を織り込みつつ信頼感が上がるブランディング系など大枠の希望を含め、使いたくないNGワードなども記載しましょう。

動画制作会社によっては、ホームページから使用するヒアリングシートを先にダウンロードして書き込んでおくこともできます。企業によって具体的な質問内容や項目は変わりますが、基本的には聞かれていることに答える形で簡潔に記載すればOKです。

あらかじめシートを作っておけば、そのシートを元により詳しい聞き取りをおこなってくれるため非常にスムーズ。基本は5W1Hですが、それ以外にも予算や参考資料・URL、スケジュールについても一緒に記載しておくと効率的です。

「オリエンシート」ヒアリングを含めた情報伝達、戦略の方向性まで

オリエンシートはヒアリングシートのように使われることもありますが、オリエンテーションの意味を持つため、その動画についての方向付けをする役割を持っています。

ヒアリングシートよりも動画の内容に踏み込んだ内容の記載が必要で、ターゲットに訴えかけるために盛り込みたい濃い情報、つまり戦略の方向性を記載します。基本的な項目は大きく分けて4点ほどで、クライアント情報・想定するターゲット・動画で訴えたいこと・トーン&マナーなどです。

とくに重要なのは動画で訴えたいこと(訴求ポイント)ですが、これはなぜその動画を制作することになったのか、動画でアピールしたいものを作り出すまでにどんな苦労があったか、などの情報があると明確にしやすくなります。

依頼側がオリエンシートで動画制作に込める思いを詳細に伝えることで、制作側にもその熱意が伝わり、動画へ生きることになるのです。とはいえ、とにかくたくさん並べてしまうと情報が多すぎて、制作側がまとめられなくなってしまうことも。内容はより具体的に、かつシンプルに書き出せるとベストです。

「クリエイティブブリーフ」具体的なイメージ作りのための広告の設計図

広告の設計図とも言われるクリエイティブブリーフは、オリエンシートよりもさらにマーケティング戦略的な要素をまとめるシートになります。

記載する項目としては一般的に8~10個程度で、動画制作の目的や、現在ターゲット層からどう思われているか、そして今後ターゲット層からどう思われたいのか、伝えたいメッセージは…などかなり詳しいものとなります。

ここで間違いや過不足があると、イメージとかけ離れた方向へ進んでしまう可能性もあるので注意が必要です。

クリエイティブブリーフを上手く作成するコツは、そのブリーフを見ただけで動画制作に関わる全ての人が同じ完成イメージを描けるように書くことです。そのため内容は漠然とした言葉を使うのではなく、できるだけ丁寧かつ具体的に書くことが大切です。

3種類のシートはいつ必要?

この3種類のシートが必要になるのは、実は制作側と相談する際の、非常に早い段階です。ヒアリングシートのみ利用する制作会社も多いのですが、いろんな視点から考えてオリエンシートやクリエイティブブリーフまで作っておけば、漏れや伝え方を間違ってしまうことなどが防げます。

依頼側と制作側で最初に深い部分まで話し合っておくことで、この内容にはこの撮影方法が合うのではないか、アニメーションと組み合わせてみると良いのではないか、などさらにビジョンが明確になりやすいと言えるでしょう。

各シートは最終目標を見据え、的確に記載を

ヒアリングシート・オリエンシート・クリエイティブブリーフは、依頼する側の要望・条件を簡潔に制作側・クリエイターに伝えるための“要件まとめシート”です。これを元に聞き取りや相談、作品の練り上げをおこない、満足できるものを作り上げていきます。

口頭で伝えるよりも目で見える形のテキストにまとめたほうが伝達漏れも防げるうえ、多くの人に同じように伝えることができる、必要あれば見返せるなどのメリットにより、最後までブレずに動画を作り上げやすくなるでしょう。

依頼側にとってはより良い作品を作ってもらうための情報伝達、制作側にとっては依頼側の未来を担う、大きなコンテンツ制作のための情報把握です。漏れなく正しく書き出して、お互いに後悔のないよう、素晴らしい動画作りを目指しましょう。