現在、最も人気のある動画コンテンツプラットフォームといえば、YouTubeです。全世界で100ヶ国、20億人以上のユーザーに使われ、80の言語に対応しています。そして当然、大きなビジネスチャンスもYouTubeには転がっています。 そんなYouTubeのこれまでの歴史から今後の可能性までをまとめて見ていきましょう。

YouTubeの始まりとは

YouTubeは2005年2月にPayPalの従業員であった、チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムらによって設立されました。最初は、自宅のホームパーティーの映像を友達にみてもらいたい、という若者らしいニーズがきっかけでした。 2005年当時は、無料で気軽に動画を共有できるようなサービスがなかったのです。 現在は一生かけてもみることのできないほどの量の動画がアップされていますが、最初はたった1本の動画から始まりました。 それが「Me at the Zoo」という動画です。創業者のチャド・ハーリーが動物園の象の前で話している動画で、いまだに観ることができます(2020年4月現在、約8900万回再生されています)。
YouTubeは開始初年から瞬く間に人気サービスとなり、ベンチャーキャピタルの出資を受け、2005年12月15日から公式なサービスをスタートさせました。 それからたった1年足らずの2006年10月には、Googleに16億5000万ドルで買収されます。大手による買収で規制が厳しくなるのではと一部のユーザーは懸念しましたが、ハーリーCEOは「今後も独立したサービスを提供する。」と言及しました。 その言葉通りYouTubeはその後も独立したサービスとして著しい成長を遂げています。

YouTubeの現状

2020年現在では、全世界で20億人以上のユーザーに使われ、毎日10億時間以上再生されており、毎日の視聴回数は数十億回にも上ります。ユーザーの年齢は、特に18〜34歳が多く若い世代の支持が大きいです。 地域別では、100ヶ国以上でローカルバージョンを提供し、80の異なる言語で利用ができます。このようにYouTubeは、名実ともに世界トップの動画プラットフォームになりました。 日本でもその人気は顕著に現れています。内閣府の平成30年度の「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、高校生の87.4%、中学生の80.9%、小学生の66.1%が、スマートフォンやパソコン、タブレットなどのいずれかの端末を使い、インターネットで動画を視聴していると回答しました。 そのうちの多くをYouTubeが占めていると思われます。 YouTubeの人気を加速させた要因の1つに「モバイル端末の普及」が挙げられるでしょう。というのも、総再生時間のうち、モバイル端末での再生時間が70%以上を占めているからです。 さらに2020年からは、先進国では5G通信が少しずつ始まっています。まだまだ一般への普及はこれからですが、5Gが普及すればさらにモバイル端末での動画視聴数が増えると考えられます。 日本では、「ギガが減る」とテレビCMでもいわれているように、通信容量の制限により多くの人がインターネットの利用を制限されていますが、5Gになるとその制限が緩和される可能性が高いため、モバイル端末での動画視聴数はさらに増えると思われます。

YouTuberの登場

YouTubeの人気が加速していく中で「YouTuber」という職業が生まれました。これは10年前には誰も知らなかった職業で、彼らの収入は年々増加しています。YouTuberの収入源は、Google AdsenseというYouTube内の広告による広告収入や、企業とのタイアップ動画(企業案件)などが主になります。 YouTube内の広告だけでも、年間10万ドル以上の収益を上げるチャンネルは、数千チャンネルに上り、前年比40%増で増えているといいます。年間1万ドル以上の収益を上げるチャンネルも、前年比50%以上の増加をしています。 これだけ稼げるチャンネルが増えている理由の1つは、チャンネル登録者数にあります。チャンネル登録者とは新規動画をアップロードしたときに、すぐに届けられるユーザーのことです(詳細なアルゴリズムがあるので必ず届くとは限りません)。 YouTubeチャンネルのチャンネル登録をすると、YouTubeを開いたときに、チャンネル登録をしたYouTubeチャンネルの動画が表示されます。 YouTubeチャンネルのチャンネル登録をしたり、再生リストに動画を追加しておけば、手軽に楽しめるということです。 チャンネル登録者数がストック式に積み上がることで、YouTube上で「影響力」が資産のように積み上がることになります。 ですので、YouTubeにて収益を上げるためには、チャンネル登録を多くの人にしてもらい、視聴時間を増やすことが重要です。実際、登録者数100万人超えのチャンネルは、前年比で65%も増えています。

YouTubeの規制の強化

ここまでの土壌ができあがるまでにも、紆余曲折はありました。昔は違法アップロード動画も多くありましたが、現在では規制や監視のシステムも強化され、健全化が進みました。暴力、性的、有害なコンテンツなどは排除されるようになっています。 それでも、まだまだ著作権無視の動画が放置されているなど、完全には監視が行き届いていない部分もあるため、今後もさらに規制の強化などはあると思われます。まだまだ発展中のサービスであるため、規約やルールが常に変わり続けているということは、YouTubeを運営する上での注意点の1つでしょう。

動画広告市場の成長

株式会社サイバーエージェントの調査によると、日本の動画広告市場は2019年に2,592億円に達し、前年比141%という成長を遂げています。2020年には3,289億円(前年比127%)、2023年には5,065億円になる見通しです。 その成長を牽引するのがモバイル端末での動画広告です。2020年時点で全動画広告の内の約90%をモバイル端末の広告が占めています。 これだけの成長市場なので、企業が見逃すはずがありません。現に多くの企業がYouTubeに参入し始めていますし、「ビジネスYouTuber」という人々も登場し始めました。

YouTubeのビジネス活用

ビジネスでYouTubeを活用する場合は、自社でチャンネルを持つのか、あくまで広告出稿だけにするのかは、戦略によって変わってくるでしょう。 まずは自社でチャンネルをもつパターンをご紹介します。自社でチャンネルをもつ場合、収入を得る方法は大きく2通りあります。 1つ目は、Google Adsenseと呼ばれるYouTube内での広告を出す方法です。これは、チャンネル登録者1,000人、過去12ヶ月間の総再生時間が4,000時間以上に達していれば収益化することができます。 2つ目は、1宣伝媒体としてチャンネルを持つ方法です。何かしらの商品・サービスを持っており、説明欄などで自社ページに送客をすることで売り上げを上げる方法です。企業としては、後者の宣伝媒体としての活用が多くなるかと思います。 しかし、1つ注意点があります。それは、チャンネルを育てるのが簡単ではないことです。いくらお金をかけて有名なゲストを登場させたとしても、必ずしも伸びるとは限りません。そこがYouTubeの難しさです。 一方、シンプルに広告を出稿すれば、確実にコスト相応の露出をしてくれます。前述したように、動画広告は成長市場なので、企業は広告として活用するにとどめることも1つの戦略でしょう。 「ビジネスYouTuber」が今は増えていますが、今後どんどん飽和していくことが予想されます。飽和すれば、再生数もトップ層に集中していくので、新規参入することが難しくなります。 結論として、すぐに効果を発揮したいのなら広告出稿をすべきです。逆に、良いタレントがいて時間コストをかける覚悟ができる企業は、自社でチャンネルを育てることも検討すべきです。 いずれにしても、市場全体が伸びていくことは確実です。YouTubeをビジネスに活用する場合、自社の商品・サービスとはどのような相乗効果があるかを分析していきましょう。 ▼外部リンク YouTube https://www.youtube.com/intl/ja/about/ 平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査 https://www8.cao.go.jp/youth/ サイバーエージェントの調査 https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/