家電業界でも、動画広告などのインターネットマーケティングに力を入れる企業が増えています。しかし、単に動画を活用しただけでは、周りの競合他社に勝つことはできません。

顧客には大量のウェブ情報が日々流れてきています。その中で注目されるための方法を、過去の成功事例から学びましょう。この記事では3つの家電メーカーの事例を、フェーズごとにご紹介していきます。

(画像はイメージです)

魅力的なキャンペーン

パナソニック株式会社では、「洗濯機に洗剤や柔軟剤を入れる際のあるあるエピソード」に関する動画をSNS上で総選挙をして、話題を呼びました。

洗剤の自動投入機能により、「洗剤ボトルを置くスペースを省ける」「洗濯量に応じて洗剤を測る手間が省ける」など、主婦目線のあるあるのショートムービーを14本制作しました。

この企画が主婦の共感を呼び、SNSで拡散されたのです。動画と親和性の高いSNSを活用した好事例の一つです。

またある家電メーカーでは、「メディアインバウンド施策」でメディアからの取材を短期間で獲得する施策を実施しました。

複数のメディアを巻き込んだり、業界のオピニオンリーダーたちをアサインしたりして、トレンドが来ているような空気感を自ら作り出しました。

ターゲットである主婦層の日常的な行動のリサーチおよび、インフォグラフィック、レシピ、メディア提出資料を多角的に制作しアプローチしました。ネットを活用し、自らトレンドを巻き起こした事例です。

LGエレクトロニクス・ジャパンでは、「バイラル動画」という拡散力の高い動画を制作し、認知度を上げました。バイラル動画とは、商品の機能を使ったドッキリ企画のような、拡散性の高い動画広告のことです。

バイラル(Viral)=「ウイルスのように感染力が高い」ことに由来しています。このような目的で、人気お笑い芸人とコラボなどをすることで、視聴者による拡散を狙ったのです。これは、ユーザーの親しみやすさを重視して、大きく拡散された事例です。

以上の3事例のように、成功する動画広告には、魅力的なキャンペーンが施策されているのです。

現状の課題を洗い出す

魅力的なキャンペーンを活かすためには、ただ成功事例を真似するだけでは成功できません。自社の状況に応じた施策が必要です。まずは課題の洗い出しをしましょう。

パナソニック株式会社では、2013年以降、デジタルコミュニケーションに注力していましたが、それまではPC向けに展開していました。

しかし、家電購入の意思決定者である主婦層の女性をターゲットとした場合、流入が多いスマートフォンへのシフトチェンジが急務だということが分かったのです。

そして、CMの役割は「価値観の提案」と考えていたパナソニック株式会社では、単純に機能を伝えるだけでは、魅力が伝わらないと考えました。

その機能が日常生活の中でどんなライフスタイルを実現するのか、どんな価値観を提供するのかを、スマートフォンを通じて伝えることが必要だったのです。

他の家電メーカーでは、商品がコモディティ化してしまっていたため、差別化できるほどの特徴、特異点が見当たらず、話題性を呼べないのが課題でした。

そのような商品でも、メディア露出を増やし、認知と売り上げを上げなければならなかったのです。そこで、USP(Unique Selling Proposition:自社の強みを分かりやすくしたもの)を洗い出し、情報元をリサーチすることにしたのです。

LGエレクトロニクス・ジャパンでは、PR動画を拡散させる難しさが不安材料でした。世界トップ100ブランドの動画コンテンツのうち、50%以上が、再生回数1000回未満という事実があります。大ヒットとされる100万回再生を達成しているのは、わずか0.6%です。

また、動画広告で求められる認知拡大のためには、テレビCMなどではリーチできない層に訴求することが必要です。そのため、一定のボリュームを獲得しつつ、親近感を抱いてもらうことが必要でした。

さらに、単純にスペックの説明をするだけでは、消費者に製品の良さが伝わらないことも難点だったため、いかに分かりやすく伝えるかが必要だったのです。

このように、成功する事例では、「問題意識」と「自社の課題」を明確に持っています。まずは、どんな問題を解決することが必要なのか。問題発見が全てのスタートラインであることが分かります。

工夫された企画

自社の課題を洗い出したら、次にどのような戦術をとるのかを、企画します。

パナソニック株式会社では、一風変わったクリエイティブで広告を企画しました。採用したのは、Yahoo!広告 ディスプレイ広告(YDN)の正方形フォーマットです。

正方形の広告は、一般的な16:9の長方形に比べて、画面の占有面積を大きくとれるので、スマートフォンユーザーには印象が残りやすいというメリットがあります。

そして、この正方形の枠組みの中に、静止画と動画を盛り込むという新しい手法を導入しました。正方形の上部分は16:9の動画、下部分は静止画の広告という組み合わせです。

動画の部分では、ユーザーの共感を呼ぶエピソードを、静止画の部分では固定されたメッセージで総選挙のキャンペーンを展開しました。

またある家電メーカーでは、普通のコンテンツマーケティングで一般ユーザーをターゲットにするのとは違い、メディアをターゲットにしました。

さらに、メディアへの広報活動と同時に、リスティング広告などのSEMをしました。消費者インサイトを考えた上でリンク先や広告テキストを変更するなど、試行錯誤しながら行いました。

LGエレクトロニクス・ジャパンでは、新商品の発売前から、2つの施策を実施しました。消費者向けのバイラルムービーの公開と、専門家や専門媒体へのPRの2つです。

以前から、専門媒体へのPRは行っておりましたが、専門家の評判が消費者に降りるまで待っていて良いのか、という課題の解決策として、消費者向けバイラルムービーが投下されました。

バイラル動画は、人気のお笑い芸人とのコラボ動画を、YouTubeに上げるというものです。

結果を確認する

最後に、行ったキャンペーンの結果を確認していきましょう。

パナソニック株式会社の動画広告キャンペーンは、目標としていたターゲット層への訴求に成功しました。性別では、家電購入の意思決定者である女性、年代では30代~40代への広告認知の反応が特に高い結果となりました。

また、認知だけではなく、購買意向も高まりました。全ユーザー層に比べて、女性ユーザーの購買意向が高まり、態度変容に関して効果がありました。

ある家電メーカーでは、5ヶ月間という短いプロモーション期間で
・朝・昼の情報番組 3番組
・各地方の情報番組 8番組
・バイラル系Webメディア 5媒体(転載ポータルサイトニュースは複数)
・家電系Webメディア 複数
・日経新聞など一般紙 複数
・その他、大手広告代理店の提案資料や業界紙に調査データなど提供
などのメディア露出を獲得しました。その結果、差別化できない事が課題だったコモディティ化した商品が、出荷待ちになるほど売れました。

口コミサイトでも1年以上常に上位をキープ、レビューも満点に近い評価を頂くようになりました。

LGエレクトロニクス・ジャパンのバイラルムービー施策では、KPIである20万ビューを、公開6日にして達成しました。

告知は、プレスリリースなどの広報活動と、広告の2本柱で行いました。プレスリリースの反応が良く、187件ものメディア掲載を頂く結果となりました。

さらに、SNSでの拡散、ヤフー映像トピックスの掲載などもあり、広告効果は約5,700万円というごく稀に見る高い数字でした。

通常10円以上する広告単価も、1.2円という安さでした。今回のバイラルムービーには、大きな広告費をかけられなかったため、広報担当が普段行っている手法を使ったことが功を奏しました。

動画広告の幅広い活用で無限の可能性がある

一言で動画広告といっても、SNSとのシナジー効果や、広報活動との組み合わせなどにより、これまでになかった効果を得ることができます。

動画広告は、成長産業であり、これからも新しい手法が増えるでしょう。ぜひ動画広告をマーケティングの1つの武器として、活用してみましょう。

▼外部リンク

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