私たちが何不自由なく生活するために必要不可欠なインフラである電力やガスは、自由化によって複数の会社から選べるようになりましたが、新規参入企業の認知度はまだまだ低いといえます。この現状を変えるべく、電力・ガス業界では動画広告を活用したプロモーションを実施しています。 この記事では、電力・ガス業界が動画広告を活用し、売り上げアップや認知度向上に成功した事例をご紹介します。

電力・ガス業界が抱える課題

電力業界では2016年に電力の自由化が、ガス業界では2017年に都市ガスの自由化がスタートしました。そのため、異業種による新規参入が相次いでいます。 電力・ガスの自由化に伴い、消費者が会社や料金メニューを自由に選択できるようになったため、企業間での競争が激化しました。激しい競争のなかで、いかに企業の認知度を上げるかが課題となっています。 電力業界は原子力発電を中心に発電を実施していましたが、2011年に起こった福島第一原発事故を機に、放射性物質による人体への危険性や環境に配慮。原子力発電から火力発電にシフトチェンジを行います。 火力発電は安定供給ができる反面、燃料を輸入に頼っているため、コストがかさむといった金銭面での課題も避けては通れないでしょう。 一方でガス業界は、電力と同じく日本を支えるインフラのひとつです。日本の人口の減少によって家庭用のガスの需要が減っているため、生存競争が激しくなっています。都市ガスの自由化が追い打ちとなり、今後さらに激化することは間違いないでしょう。 電力とガス、いずれも輸入によるコスト面や人口の増減は、企業がどうこうできる問題ではありません。そのため、消費者のインフラに対する認識を変え、積極的にアプローチして自社の顧客を増やすことが課題となってきます。

インフラの大切さを感じてもらう必要がある

電力・ガス業界では、インフラを身近に感じてもらうために動画広告を活用している企業がいます。能動的に視聴する動画は、文章に比べて消費者の印象に残りやすく、YouTubeやInstagram、FacebookといったSNSで拡散される効果が期待できるのが理由です。 動画広告の内容には、地域の特色やストーリー性を持たせて身近に感じてもらう工夫を行っています。サービス的な内容はもちろんのこと、「インフラある生活」を改めてなぞっていくことで、電力やガスの大切さを実感してもらう狙いです。 広告はどうしてもスキップされやすいという特徴がありますが、冒頭で続きが気になる演出をすることで、消費者に興味を持ってもらうことが重要です。最後まで視聴させる効果が期待できます。 また、自社サイトへの集客も大切な要素となってくるため、動画広告をライブラリーとして活用し、サイト内の回遊率アップを促進しています。さらに、動画広告ページに関連動画や商品ページへのリンクを設けることで、購買行動へとつなげます。

企業が行ったキャンペーン

電力・ガスの自由化によって競争が激化した結果、他社との差別化を図るために動画広告の活用がキーとなります。会社名や商品名といった表向きの認知度向上に加えて、自由化したなかで消費者に自分たちの会社を選んでもらえるよう、印象に残るような動画を作らなければいけません。 そこで、電力・ガス各企業は課題解決のために、動画マーケティングを実施しました。ここでは「ブランデッドムービー」と「インフルエンサーの活用」をご紹介します。

ブランデッドムービー

電力やガスなどのインフラは、あって当たり前の存在であるため、大切さを実感してもらう機会が少ないと言われています。それを解決してくれるのがブランデッドムービー。ムービーと名のつく通り動画コンテンツで、企業ブランドやコンセプト、さらには自社の商品を文章以上の表現力でアピールします。 ブランデッドムービーの特徴はストーリー性があることです。登場人物や世界観に共感を生むことができるストーリー動画は、視聴者の心をグッと惹きこみます。 まるで1本の映画を見ているような気持ちにさせることで、広告特有の不快感を与えません。また、ブランデッドムービーは広告のように尺を設けないため、企業の理念やメッセージを余すところなく動画で訴えかけることができます。 ブランデッドムービーを上手く活用すると、最後まで広告だということに気付かれません。動画広告最大の難関である「スキップされずに視聴してもらう」をクリアするためには、ブランデッドムービーが適していると言えるでしょう。

インフルエンサーの活用

マーケティングの話題で、必ずといっていいほど出てくるのがインフルエンサーを活用した「インフルエンサーマーケティング」ですが、電力・ガス業界においても多大な影響を与えることはいうまでもありません。 インフルエンサーを活用することによる最大のメリットは、ファンを中心に膨大な集客が見込めることです。普段はあまり気に留めない広告であっても、自分の好きなYouTuberやタレントがPR動画を出していたらつい見てしまうものです。 生存競争が激しくなった電力・ガス業界で、好感度・知名度ともに申し分ないインフルエンサーを起用することで一種の権威効果を発揮し、視聴者が「信頼できる会社だ」と安心する上に、企業は自社を知ってもらえる効果が期待されます。 認知度を高め、激しい競争に勝つためには、インフルエンサーを活用した動画も視野に入れるべきでしょう。

動画広告を活用した成功事例

動画広告の有用性についてお話してきましたが、最後に動画を活用して成功した実際の事例をご紹介します。 関西電力株式会社は、2017年に自社のYouTubeチャンネルで「曙光~離れた地でも~」を公開。298万回再生を記録しました。 海外で水力発電所のダム建設に携わる父と、日本に暮らす息子との絆を通じ、親子の成長を描いた作品です。父から家族のもとへ送られてくる一枚の写真とメッセージ。息子は写真が来たときに、楽しさや寂しさを感じたり、ときには反発をしながらも成長していきます。 動画公開直後、SNS上で「関電に泣かされるとは…」「関西電力のCM、つい最後まで見てしまった」という声が多く寄せられて話題になりました。 この「曙光~離れた地でも~」は、「第56回JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール」のデジタル広告部門で、トップ10に入賞しました。この賞は消費者の意識を変えるきっかけとなったCMが評価されます。認知度の向上だけでなく、消費者に自分たちの会社を選んでもらえるような印象に残る動画、共感性の高い動画だったのではないでしょうか。 ほかには、自社サイトでの集客を行っている大阪ガス株式会社では、CMに使用した動画広告をキラーコンテンツとして、自社サイトのライブラリーに展開しています。長期間にわたる運営のなかで、リニューアルや再生プレイヤーを時代に合わせた仕様へ変更したりするなど、消費者の使いやすさを追求してきました。 さらに、動画ページに関連動画を入れ込むことで回遊率を高めた結果、PV数は130%増加、商品ページへの遷移数も180%アップという効果が出ています。動画広告を活用することで、自社サイトのブランディング、商品の知識、さらには購買を誘導する導線作りにおいて結果が出るということがわかります。

まとめ:日本を支えるインフラ業界

インフラ業界は、私たちの生活を成り立たせます。一般的にはまだ、インフラはあって当たり前という認識が強いです。電力・都市ガスが自由化したことで、業界の競争が激化しました。 生き残るには、消費者を巻き込んだ対策が必要です。そのためには、インフルエンサーの活用や、ブランデッドムービーといった認知度の向上だけでなく、共感性を引き出す動画を作成しましょう。 (画像はpixabayより)